我が国は、第二次世界大戦後の国土の荒廃から立ち上がり、道路・鉄道などの社会資本整備に尽力を注いできました。これに呼応して自動車工業、ハイテク産業など時代に応じた基幹産業も生まれ育ちました。その結果、1980年代には、世界でも有数の経済大国となり、我々は金銭的に豊かで便利な生活を手に入れることができました。しかしながらこの時点では、自然環境保全が注視されることは極めて希でした。さらに、1980年代以降のいわゆるバブル経済期には、上記の産業活動の他、多数のゴルフ場や大型リゾート施設の建設が進みました。バブル経済は約10年で破綻しましたが、ここに至って多くの国民は、生活の利便性と引き替えに広大な自然環境が破壊されてしまったことに気づきました。失われた自然環境は、里山などの身近なものから、干潟や浅海域、動植物の聖域とも言える深山まで広範囲におよぶものでした。その結果、生息場所を失った多くの動植物種で個体数が減少したと考えられ、絶滅に瀕するものさえ出てきました。
自然はそこに生息する動植物のみならず、我々人間にとっても最も重要な生活資源で人間は科学技術の進んだ今日でも、物質的・精神的に自然からの恵みが不可欠です。その不可欠な自然を残していくためには、自然環境の実態を科学的に調査し、改変を伴う諸事業については自然環境への負荷を適正に評価することが重要です。また、開発により破壊された自然環境を早期に回復することも必要となります。しかしながら、これまでの自然環境調査は事業実施の免罪符として行われることが多かったため、その調査手法や調査結果の解析・評価の妥当性に疑義を抱かれることがあります。同時に開発に反対する諸団体においても、その主張の根拠に客観性を見いだせない場合も散見されます。
そこで、現在求められているのは、今までの行政、企業主体とは異なった独立した第三のセクターとして、その中立的な機能を果たす組織の存在です。私たちは、非営利活動として市民参加型の自然環境の調査を行う特定非営利活動法人フィールドエッグを設立することとしました。この法人は、日本国内のみならず、諸外国においても自然環境保全及び自然再生に関する事業を行い、人と自然が共存しうる社会構築に寄与することを目的とします。また、後世に良好な自然環境を残すため、自然環境保全の重要性を教育・啓発することも目的としています。
特定非営利活動法人 フィールドエッグ
設立代表者 岩渕 聖 |
|